第2章に関する規則
第68規則 発明の単一性の欠如(国際予備審査)
68.1 減縮又は支払を求めない場合国際予備審査機関は、発明の単一性の要件が満たされていないと認めた場合において、請求の範囲を減縮し又は追加手数料を支払うことを出願人に求めないときは、第34条(4)(b)及び66.1(e)の規定に従うことを条件として、国際出願の全体について国際予備審査を進めるものとし、書面による見解及び国際予備審査報告において発明の単一性の要件を満たしていないと認めた旨を表示し及びその理由を明記する。
68.2 減縮又は支払を求める場合
国際予備審査機関は、発明の単一性の要件が満たされていないと認めた場合において、出願人の選択により請求の範囲を減縮し又は追加手数料を支払うことを出願人に求めるときは、その求めは、次のとおりとする。
(i) 国際予備審査機関の見解によれば該当する要件が満たされることとなる減縮の少なくとも一の可能性を明示する。
(ii) 国際出願が発明の単一性の要件を満たしているとは認められない理由を明記する。
(iii) その求めの日から1箇月以内に応じるよう出願人に求める。
(iv) 出願人が選択する場合には、支払うべき必要な追加手数料の額を表示する。
(v) 該当する場合には、出願人に対し、68.3(e)に規定する異議申立手数料をその求めの日から1箇月以内に支払うよう出願人に求め、及び、支払うべき手数料の額を表示する。
68.3 追加手数料
(a) 第34条(3)(a)の規定に従って国際予備審査のために支払うべき追加手数料の額は、管轄国際予備審査機関が定める。
(b) 第34条(3)(a)の規定に従って国際予備審査のために支払うべき追加手数料は、国際予備審査機関に直接に支払う。
(c) 出願人は、異議を申し立てて、すなわち、国際出願が発明の単一性の要件を満たしている旨又は要求された追加手数料の額が過大である旨の理由を示した陳述書を添付して、追加手数料を支払うことができる。異議は、国際予備審査機関の枠組みにおいて設置される検査機関が審理するものとし、この機関は、異議を正当と認める限度において追加手数料の全部又は一部を出願人に払い戻すことを命ずる。異議及び当該異議についての決定の書面は、出願人の請求により、国際予備審査報告の附属書類として選択官庁に通知する。
(d) (c)に規定する検査機関の構成員には、異議の対象となった決定をした者を含めることができるが、これに限定してはならない。
(e) 国際予備審査機関は、(c)に規定する異議の審理には、異議申立手数料の国際予備審査機関への支払を条件とすることができる。出願人が68.2(v)に規定する期間内に要求される異議申立手数料を支払わなかった場合には、その異議申立ては、行われなかったものとみなし、国際予備審査機関はその旨を宣言する。(c)に規定する検査機関がその異議を完全に正当と認めた場合には、異議申立手数料は、出願人に払い戻す。
68.4 請求の範囲の不十分な減縮の場合の手続
出願人が請求の範囲を減縮した場合において、発明の単一性の要件が満たされるに至らないときは、国際予備審査機関は、第34条(3)(c)の定めるところにより手続をとる。
68.5 主発明
第34条(3)(c)の規定の適用上、いずれの発明が主発明であるか疑わしい場合には、請求の範囲に最初に記載されている発明を主発明とみなす。
第69規則 国際予備審査の開始及び国際予備審査のための期間
69.1 国際予備審査の開始a.(b)から(e)までの規定に従うことを条件として、国際予備審査機関は、次の全てを受領した時は、国際予備審査を開始する。
(i) 国際予備審査の請求書
(ii) 取扱手数料及び予備審査手数料の支払うべき額の全額(該当する場合には、58の2.2の規定に基づく後払手数料を含む)
(iii) 国際調査報告又は第17条(2)(a)に基づき国際調査報告を作成しない旨の国際調査機関による宣言のいずれか及び43の2.1の規定に基づき作成された書面による見解
b.国際調査機関として行動する国内官庁又は政府間機関が国際予備審査機関としても行動する場合には、国際予備審査は、その国内官庁又は政府間機関が希望するときは、(d)及び(e)の規定に従うことを条件として、国際調査と同時に開始することができる。
bの2.国際調査機関及び国際予備審査機関として行動する国内官庁又は政府間機関が、(b)の規定に従い国際調査と同時に国際予備審査を開始することを希望し、かつ、第34条(2)(c)(i)から(iii)の全ての条件が満たされていると認める場合には、その国内官庁又は政府間機関は、国際調査機関として、43の2.1の規定に基づく書面による見解を作成することを必要としない。
c.補正に関する記述が第19条の規定に基づく補正を考慮することを希望する旨の表示(53.9(a)(i))を含む場合には、国際予備審査機関は、その補正書の写しを受領する前に国際予備審査を開始しない。
d.補正に関する記述が国際予備審査の開始を延期することを希望する旨の表示(53.9(b))を含む場合には、国際予備審査機関は、次のいずれかが最初に生じるまでは、国際予備審査を開始しない。
(i) 当該国際予備審査機関が、第19条の規定に基づく補正書の写しを受領すること。
(ii) 当該国際予備審査機関が、第19条の規定に基づく補正をすることを希望しない旨の通知を出願人から受領すること。
(iii) 46.1に規定する期間を経過すること。
e.補正に関する記述が第34条の規定に星づく補正書を国際予備審査の請求書とともに提出する旨の表示(53.9(c))を含んでいるがそのような補正書が実際には提出されていない場合には、国際予備審査機関は、補正書の受領又は60.1(g)に規定する求めに定めた期間の満了のいずれかが先に生じるまでは、国際予備審査を開始しない。
69.2 国際予備審査のための期間
国際予備審査報告を作成するための期間は、次の期間のうち最も遅く満了する期間とする。
(i) 優先日から28箇月
(ii) 69.1に規定する国際予備審査の開始の時から6箇月
(iii) 55.2の規定に従つて提出された翻訳文を国際予備審査機関が受理した日から6箇月
第70規則 国際予備審査機関による特許性に関する国際予備報告(国際予備審査報告)
70.1 定義この第70規則の規定の適用上、「報告」とは、国際予備審査報告をいう。
70.2 報告の基礎
a.請求の範囲について補正がされた場合には、報告は、補正後の請求の範囲に基づいて作成する。
b.66.7(a)又は(b)の規定に従い優先権の主張がされなかつたものとして報告を作成する場合には、報告には、その旨を表示する。
c.国際予備審査機関が、補正が出願時における国際出願の開示の範囲を超えてされたものと認める場合には、報告は、その補正がされなかつたものとして作成するものとし、報告には、その旨及びその開示の範囲を超えてされた補正と認める理由を表示する。
d.請求の範囲が国際調査報告の作成されていない発明に関する場合であつて、そのため国際予備審査の対象とならないときは、報告にその旨を表示する。
70.3 表示
報告には、報告を作成した国際予備審査機関をその国際予備審査機関の名称を記載することにより、当該国際出願を国際出願番号、出願人の氏名又は名称及び国際出願日を記載することによつて特定する。
70.4 日付
報告には、次の日付を表示する。
i.国際予備審査の請求書が提出された日付
ii.報告の日付。この日付は、報告を完成した日付とする。
70.5 分類
a.報告には、43.3の規定に従つて付与された分類に国際予備審査機関が同意する場合には、その分類を表示する。
b.その他の場合には、国際予備審査機関は、少なくとも国際特許分類に従つて、正しいと認める分類を報告に表示する。
70.6 第35条(2)の記述
a.第35条(2)の記述は、「是」若しくは「非」の語、報告の言語におけるこれらの同義語又は実施細則で定める適当な記号から成るものとし、その記述には、該当する場合には、列記、説明及び第35条(2)の末文の意見を付する。
b.第35条(2)に規定する3の基準(新規性、進歩性(自明のものではないこと)及び産業上の利用可能性)のいずれかに適合していない場合には、(a)の記述は、否定的なものとする。この場合において、いずれかの基準に適合しているときは、報告には、その適合している基準を明記する。
70.7 第35条(2)の列記
a.報告には、第35条(2)の規定に従つて行われる記述を裏付けるため関連のあると認められる文献を、当該文献が国際調査報告で引用されているか否かを問わず、列記する。国際調査報告で引用されている文献は、国際予備審査機関により関連があると認められた場合にのみ国際予備審査報告に列記する必要がある。
b.43.5(b)及び(e)の規定は、報告についても適用する。
70.8 第35条(2)の説明
実施細則には、第35条(2)の説明を付し又は付さない場合及びその説明の形式についての指針を含める。この指針は、次の原則に基づくものとする。
i.いずれかの請求の範囲についての記述が否定的なものである場合には、説明を付する。
ii.記述が肯定的なものである場合には、列記された文献を調査することによりその文献を列記した理由を容易に推測することができる場合を除くほか、説明を付する。
iii.一般に、70.6(b)の末文の場合にほ、説明を付する。
70.9 書面による開示以外の開示
64.2の規定により報告において言及する書面による開示以外の開示については、その種類、当該書面による開示以外の開示に言及している書面による開示を公衆が利用することができるようになつた日付及び当該書面による開示以外の開示が公然行われた日付を表示する。
70.10 ある種の公表された文書
報告において64.3の規定により言及する公表された出願又は特許について、そのような出願又は特許として明記するものとし、その公表の日、出願の日及び、該当する場合には、主張する優先日を表示する。当該文書に係る優先日に関しては、報告には、国際予備審査機関の見解によればその優先日の主張が有効にされていない旨を表示することができる。
70.11 補正の表示
国際予備審査機関に対し補正書が提出された場合には、その事実は、報告に表示する。補正により一の用紙の全体が削除されることとなる場合には、その事実も報告に明記する。
70.12 欠陥及びその他の事項の表示
国際予備審査機関は、報告を作成する際に、
i.国際出願に66.2(a)(iii)の欠陥が含まれていると認める場合には、報告にその旨の見解及びその根拠を記載する。
ii.国際出願が66.2(a)(v)の意見を要すると認める場合には、報告にその旨の見解を記載することができるものとし、この場合においては、報告にその見解の根拠をも記載する。
iii.第34条(4)に規定する事由があると認める場合には、報告にその旨の見解及びその理由を記載する。
iv.有意義な国際予備審査を行うことができる形式でヌクレオチド又はアミノ酸の配列リストを入手することができないと認める場合には、報告にその旨を記載する。
70.13 発明の単一性に関する注釈
出願人が国際予備審査のための追加手数料を支払つた場合又は国際出願若しくは国際予備審査が第34条(3)の規定に従つて減縮された場合には、報告には、その旨を表示する。更に、国際予備審査が減縮された請求の範囲(同条(3)(a))につき又は主発明(同条(3)(c))のみについて行われた場合には、報告には、国際出願について国際予備審査の対象となつた部分及び対象とならなかつた部分を表示する。国際予備審査機関が請求の範囲を減縮し又は追加手数料を支払うことを出願人に求めない場合には、報告には、別に規定する表示を記載する。
70.14 権限のある職員
報告には、その報告について責任を有する国際予備審査機関の職員の氏名を表示する。
70.15 様式、表題
(a) 報告の様式上の要件は、実施細則で定める。
(b) 報告には「特許性に関する国際予備報告(特許協力条約第2章)」という表題及び国際予備審査機関が作成した国際予備審査報告である旨の表示を付す。
70.16 報告の附属書類
(a) 66.8(a)又は(b)の各差替え用紙、第19条の規定に基づく補正書の各差替え用紙及び91.1(e)(iii)の規定に基づいて許可された明白な誤りの訂正の各差替え用紙は、後の差替え用紙又は66.8(b)の規定に基づき用紙の全体を削除することになる補正書によつて差し替えられたものを除くほか、報告に附属書類として添付する。第34条の規定に基づく補正によつて取り消されたものとみなされた第19条の規定に基づく補正書を含む差替え用紙及び 66.8の書簡は、添付しない。
(b) (a)の規定にかかわらず、国際予備審査機関が、関連する差し替えようとし又は取り消そうとする補正が出願時における国際出願の開示の範囲を超えてされたものと認め、かつ、70.2(c)に規定する表示を含んでいるものと認める場合には、(a)の規定により差し替えられた又は取り消された各差替え用紙も報告に附属書類として添付する。この場合、その差し替えられた又は取り消された差替え用紙には、実施細則が定める記入をする。
70.17 報告及び附属書類の言語
報告及び附属書類は、当該国際出願の国際公開に用いられる言語又は国際予備審査が55.2の規定に基づき国際出願の翻訳文に基づいて行われる場合には当該翻訳文の言語で作成する。
第71規則 国際予備審査報告の送付
71.1 受取人国際予備審査機関は、国際予備審査報告及び、該当する場合には、附属書類を国際事務局及び出願人に各一通同一の日に送付する。
71.2 列記された文献の写し
a.第36条(4)の請求は、当該国際予備審査報告に係る国際出願の国際出願日から7年の期間いつでも行うことができる。
b.国際予備審査機関は、(a)の請求を行つた当事者(出願人又は選択官庁)に対し、写しの作成及び郵便に係る費用を支払うことを要求することができる。写しの作成に係る費用は、当該国際予備審査機関と国際事務局との間に締結される第32条(2)に規定する取決めで定める。
c.削除
d.国際予備審査機関は、自己に対して責任を負う他の機関を通じて(a)及び(b)に定める任務を遂行することができる。
第72規則 国際予備審査報告及び国際調査機関の書面による見解の翻訳
72.1 言語a.選択国は、自国の国内官庁の公用語以外の言語で作成された国際予備審査報告を英語に翻訳することを要求することができる。
b.(a)の要求は、国際事務局に通知するものとし、国際事務局は、その要求を速やかに公報に掲載する。
72.2 出願人のための翻訳文の写し
国際事務局は、72.1(a)の規定に基づく国際予備審査報告の翻訳文の写しを、関係選択官庁に当該翻訳文を送達すると同時に出願人に送付する。
72.2の2 43の2.1の規定に基づき作成された国際調査機関の書面による見解の翻訳
73.2(b)(ii)に規定する場合には、43の2.1の規定に基づき国際調査機関が作成した書面による見解は、関係選択官庁の要求により、国際事務局によつて又はその責任において英語に翻訳される。国際事務局は、翻訳の要求を受領した日から2箇月以内に、翻訳文の写しを関係選択官庁に送付すると同時に、その写しを出願人に送付する。
72.3 翻訳に関する意見
出願人は、国際予備審査報告の翻訳文又は規則43の2.1の規定に基づき国際調査機関が作成した書面による見解の翻訳文の正確性について書面による意見を作成することができるものとし、その書面による意見の写しを各関係選択官庁及び国際事務局に各1通送付する。
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